矯正歯科についてよくある質問
患者様から矯正歯科について質問のなかで多いものを掲載しています
期間はどれくらいかかる?
混合歯列(乳歯と永久歯が混ざり合っている時期)から治療を始めても、第二大臼歯(12歳臼歯)の咬合を確認して終了となりますので、早く始めたら早く終わるという訳ではありません。歯を動かす期間は短くなるかもしれませんが、矯正治療全体の終了は永久歯列の完成までとなります。
矯正治療は動的期間(歯を動かす期間)と保定期間(ほていきかん、歯を安定させる期間)に分かれます。
動的期間は混合歯列期で約1年、永久歯列期で約2年でしょう。保定期間は智歯(おやしらず)の存在や状況で変わりますが1~2年は必要と考えられます。
また、動的期間は月に一度の処置で治療が進行します。保定は4ヶ月に一度の観察で行われる事が一般的でしょう。
費用はどれくらいかかる?
費用は自費治療ですので、永久歯列完成までの治療では、合計金額で60~70万程度が平均と思われます。
治療の難易度や診療室のある場所、地域での差もあります。
使用する装置の数により、装置料を合算する方法の採られているところもあるようです。
また子供の治療費は総額から差し引かれる場合と、別料金とする場合もあるようです。 合計金額を確認して治療を開始されると良いでしょう。
支払い方法も色々な形式がありますので詳しく相談されることをお奨めいたします。一般的には動的期間内に分割支払いは可能と考えて良いと思われます。
歯を抜かなければ、いけないのですか?
矯正装置を駆使すれば、かなりのでこぼこでも歯を並べることは出来ます。しかし、矯正治療で治すことと、ただ並べることは違うと考えます。全てではありませんが、症例によっては抜歯を必要とするものもあります。
歯は内と外からの筋肉の圧力のバランスでその位置を保ちます。無理に並べても装置をはずすと、また筋肉の圧力で戻されてしまいます。
また、大きな歯と小さな顎のように歯の大きさと顎の広さにズレがある症例(でこぼこや出っ歯)では、その程度により顎を拡げる方法か歯を抜く方法が一般的に採られます。
しかし無理に顎を拡大して歯を入れるスキマを作った場合、歯の頭の部分だけが外側へ向いて傾斜して並びます。これは組み体操の「おうぎ」の形に似ています。何人かが足を寄せ合い肩を組んで広がって、扇の形を組む状態です。
これでは前歯は前突し、奥歯は外に傾斜して上下の接触点が少なくなってしまい、歯は並んだ様に見えますが、くちびるが閉じづらい状態になったり、噛み合わせが不安定になってしまうわけです。
そうなると、いつも口を開けていることが多くなり、口呼吸し易く、歯は並んでいても口腔内の環境は悪くなり健康を維持することが難しくなります。
歯を抜かなくても歯並びや噛み合わせを治せる症例はありますが、無理に並べると将来、歯周組織にダメージを与えてしまう症例があることも事実です。
私の意見としては、矯正治療の抜歯は、症例により判断される手段の一つであり、歯を抜かないことのみを目的にして症例にあたるのべきではないと考えます。
症例に対する矯正専門医の判断と根拠の説明を充分に受け、治療後の状態を確認して治療に臨むことをお奨めいたします。「とりあえず、抜かずにやってみましょう」という意見で始めることは危険だと考えます。
痛みはどれくらいある?
まったく痛くない矯正治療はあり得ないと考えてください、しかし2年間ずっと痛み続ける訳ではありません。
装置装着後、3日から5日ぐらい噛んだときに痛みを感じます。その後、痛みは少なくなり、ほとんど気にならない程度になって来ます。しかし次の処置を受けた日から再び2,3日同様な痛みがでるようになり、その繰り返しが毎月、断続的に続くと思ってください。
虫歯や歯肉炎はだいじょうぶ?
妊娠やホルモン剤の常用がある場合は、歯肉の炎症を起こしやすいので、歯みがきの手間が問題となることがあります。歯みがきは食後必ず必要になり、時間もかなりかけて行う必要があると思います。
しかし矯正装置が入っていると虫歯が出来やすいと考える方が多いのですが、そうとは言いきれません。月に一度矯正処置を行う際には歯を磨き汚れを落とし、むし歯のチェックを行うので、きちんと来院されればその危険はかえって少ないと考えられます。また矯正治療が進んで、歯並びが治ってくると今まで重なって隠れていた虫歯の個所が見えてくることで、虫歯が出来たと勘違いする方が多いようです。
また、矯正治療中の虫歯の処置は可能ですし、歯肉炎といわれる歯肉の炎症状態も同様に歯並びが整ってくると、歯みがきが容易になってくるので定期的に来院して治療を続けていれば、問題はないと考えられます。
目立たない装置はどのようなもの?
矯正装置はその材料が、さまざま開発されてきましたが根本的な方法は変わりません。
歯の表面それぞれにブラケットといわれる小さな部品を接着して、ワイヤーをブラケットにくくり付けてワイヤーの弾力を歯に伝え動かすというものです。
通常ブラケットは金属でできていますが、プラスチックやセラミックのものもあり、このほうが目立ちにくいものと言われているものです。しかし矯正力(弾力)をもつワイヤーは金属ですので、まったく見えないものではありません。
歯の裏側にブラケットを付けて動かす方法も開発されましたが、歯の裏側は舌側(ぜっそく)といわれるように舌があり、会話や咀嚼(かみ砕くこと)の際に働く舌の動きに制約が大きく、なれるまでには時間がかかり発音に影響がでます。また歯の裏側は形が複雑なため装置が壊れやすく歯に働く力の大きさにも問題があると考えられ、特殊な症例以外はたとえ上顎だけの装着でも私はお奨めいたしません。
矯正中やってはいけないことはある?
マスクを使わない格闘技はやめられたほうが良いと思いますが、通常のスポーツには問題がないと思います。
また、硬いものや粘着性のある食べ物を好んで食べることは控えられたほうが良いと思います。 それ以外には管楽器などのうち歯を使う楽器は矯正治療にプラスには働きませんので控えたほうが望ましいと思います。